(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
呼吸と心電図の波形が乱れていて、あまり状態が良くないのだと告げている。
高浜教授がひとつひとつの数値を確認し、治療方針を固めていく。

「西島、ルートをもう1本取れるか? そこから輸液を入れたいんだが」

「はい、問題ありません。すぐ用意しますか?」

「ああ、頼む」

生まれたばかりの小さな手に点滴用の針を刺すのは痛々しいけれど、失敗は許されない。
俺は集中して目の前の赤ちゃんに向き合った。

高浜教授の判断は的確で、処置の効果が徐々に現れ始める。
小さな身体は、規則正しく呼吸と心拍のリズムを刻み始めた。

「よし、ひとまずヤマは越えたな。俺はこの子の父親に状態を説明してくるから、西島は様子を見つつカルテ頼めるか?」

「はい、対応します。高浜教授、この時間帯に追加で薬剤投与しますか? 投与するのであれば手配もやっておきますが」

「いや、夜間で問題無いだろう。じゃあ、ちょっと行ってくる。頼むな」

カルテを入力するためにノートPCを起動すると、画面の右隅に表示された時刻は『18:35』だった。

今夜は無理だな・・。

彼女には、総合病院を出る前に一度連絡を入れている。
『新生児の急患が出たから、高浜教授のところに行ってくる』とだけメッセージを送っていた。

おそらく、彼女ならそれで察してくれるはず。

俺はそう信じて、カルテを作成しながら赤ちゃんのモニターを注視していた。



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