(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
まだほんの数回しか彼女と接していないものの、なんだかいつも申し訳なさそうなところが気になった。
彼女が自分を出せるのは、誰と一緒の時だろうか。

もしかしたら、本当に辛い時だけ・・?
初めて会った日のような、どうしようもない時だけか?

だとすると。

俺に抱き上げられたこと。
俺の手を握って離さなかったこと。
俺の前で眠ってしまったこと。

おそらく、普段の彼女ではありえないことなんだろうな。


「・・西島先生?」

「あ・・すみません。そうだ平嶋さん、お腹空いてますか?」

「えっ、まぁ・・」

「もし良ければ、一緒に点心食べませんか? 近くに美味しいところがあって、いつも行くんです」

元々、夕食はそこに行こうと考えていた。
点心だけじゃなく、普通のメニューも美味い店だ。

きっと彼女は帰宅後に仕事をするだろうし、俺は寝起きだから、軽めに点心なら・・。
そう考えて誘ったものの、いきなりふたりでの晩メシは、まずかったか。

普段の俺なら、こんなふうに女性を誘ったりしないのに、自分でもよくわからない。


「あの・・。本当にご一緒していいんですか? 怒られたりしません?」

ん、怒られる? 
誰にだ?

「奥さまとか、大切な女性とか・・・・」

彼女の声が徐々に小さくなる。

「あー、そういうことですね。いったい誰に怒られるんだろうと、あれこれ考えてしまいました」

「だって・・。私は先日西島先生に送っていただいたし、迎えに来てくれるような人がいないって、もうバレてるからいいんですけど・・」

そういえばそうだった。
ひとりで帰すわけにもいかないと送っていったものの、そういう人がいれば、俺が送っていく必要もなかったのか。

「僕も、後から怒られるような人はいませんから。平嶋さんさえ良ければ、一緒に食べにいきませんか?」

俺は、改めて彼女を誘った。





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