(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
「そうだ、俺、来週学会で大阪行くんだ。火曜の夜泊まって、水曜朝から」

高浜教授から、案内メールが届いている。
火曜の日勤が終わってから移動して1泊し、次の日の夕方には東京に戻る予定だ。

「え、水曜? 私も神戸に行く予定なの。私は日帰りだけど」

「神戸日帰りか・・。ちょっと大変じゃない? 何の仕事?」

「うん・・。水曜に神戸で外科学会があるの。午後の最初のプログラムに白坂教授のチームが登壇するんだって。だから、朝に家を出ても間に合うの。
決まった翻訳とか無いんだけど、そこでもし質問が出たりしたら、終わった後にすぐ調べて返答したいから待機していてほしいと言われて」

「そっか・・。もし調整がつくなら、火曜の夜に一緒に行こうか。俺のところに泊って、水曜の朝に神戸へ移動すればいいんじゃないか?
大阪から神戸だと電車で30分くらいだし。そんなに遅くなければ、帰りも一緒に帰れるよ」

往復の移動と学会の緊張感・・。
それを日帰りでこなすなんて、片頭痛が発症するんじゃないかと心配になる。

俺が一緒にいるようになってから、特に夜の時間帯の仕事量をコントロールするようにして、彼女の症状はかなり落ち着いていた。

前泊すれば移動の負担も軽減されるし、前日によく眠れば身体もだいぶ楽なはずだ。

「仕事は調整できるけど・・。いいの? 祐一郎のところに泊めてもらっても」

「構わないよ。まぁ・・もれなく俺が一緒だけど、それでも良ければ」

「ふふ・・ありがとう。一緒に行けるなんて思ってもみなかったから、すごく嬉しい」

そう言ってすぐに新幹線を予約しなおす彼女を見ながら、俺も、ホテルの部屋を少し広めのダブルルームに変更した。



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