屋根裏で看病したあの時のドラゴンは私の将来の旦那様
妖精がふわふわと飛ぶ森の中。おばあちゃんにお願いされて赤いバラの花を摘みに行ったら、森の少し開けたところの切り株の傍に、うっすら半透明の青いドラゴンが横たわっていた。
「どうかしたの──……て、あなた怪我してるじゃないの!」
ヒューヒューと息苦しそうに呼吸するドラゴン。お腹の方を見ると、鉄砲で撃たれた痕があり、そこから血が流れていた。
「お家に帰って、私のおばあちゃんに診てもらいましょ!」
ドラゴンはまだ子供なのか、15の私より少し大きいくらいのサイズで。私はそのドラゴンをおんぶして、私のお家に連れていくことにした。
「──はい。鉄砲の弾を取って止血したわ」
傷ついたドラゴンを私のお部屋の屋根裏に連れていくと、おばあちゃんがあっという間に魔法でドラゴンの傷を治した。
「さすが、天才魔法使いのおばあちゃん!すごい!」
「天才って……昔の話でしょ。今はもっと、強くて良い魔法を使う若い子がたくさんいるのよ」
「でも、私はおばあちゃんの魔法が一番すごいと思うよ」
「はいはいありがとう。それよりそのドラゴン衰弱気味だから、後はあんたの方で面倒見てね」
おばあちゃんはそう言うと、ちょっと嬉しそうに鼻で笑いながら階段を降りていった。
「はい、あーん」
私特製のクルッポルクの実を潰して入れたリゾットを、木のスプーンで掬い、ドラゴンの口許に寄せる。けど、ドラゴンはリゾットを食べようしとしない。
「う~ん、やっぱお肉とかじゃないとだめ?今日はお肉無いんだよね~……ほら、リゾットも美味しいよ~!」
そう言いながら私は、ドラゴンの前でリゾットを食べてみせた。じっ……と見つめる、翡翠色の瞳。綺麗でドキッとする。
再び、木のスプーンでリゾットを掬ってドラゴンの口許に持っていくと。ドラゴンはぱくりとリゾットを食べてくれた。よほど美味しかったのか、もっとくれと鼻先を私の腕に押し付けて、リゾットをぱくぱく食べそして、器のリゾットを全部平らげた。
私も自分の分のリゾットを食べてお腹いっぱいになると、ドラゴンと一緒にくっついて眠った。
翌朝、私が目を覚ますとドラゴンは居なくなっていた。