こちら元町診療所
Reminiscence
まだ静かな朝の早い時間に家を出て、
今ハマっているアーティストの音楽に
テンションを無理やり上げる。
何故なら、先月まで私の職場は
本当に静かで、穏やかな時間を
過ごせる癒やしの場所だったのに、
あの日からからそれが失われて
しまったのだ。
ガチャ
ヴッ!!
「‥ッ‥おはようございます。」
蛍光灯は薄暗く、外の空気とは打って
変わり、体に悪そうな空気が充満し
たロッカールームに思わず口と鼻を
押さえてしまう。
ああ‥‥なんて‥‥甘ったるい‥‥‥。
様々な香りが充満するハーレムのような場所は以前の面影すら残っていない
ここ‥そもそも‥医療現場よね‥‥?
この香りは体調不良で来院された患者さんには毒になりそうだ。
診療時間1時間前からヘアメイクに
力を入れる看護師さん達に頭を下げて
1番奥へ避難すると、もう一度鼻を
摘んで頭を小さく横に振ってみた
さっさと着替えてここから出ないと
窒息死するな‥‥。
白のパリッとしたブラウスと黒とグレーのチェックのベストを身につけ、グレーの膝丈のスカートを急いで身につけ、
鎖骨下まであるサラサラな髪は
いつも通り1つでキュっと束ねた。
「‥‥お先です‥ウッ‥」
竹原看護師長‥‥
巻きすぎた髪が最早、大事故寸前ですよ?何もしない方が綺麗なのに勿体無い‥‥。
至ってみんな真面目にヘアメイクを
しているのだから、馬鹿になんて
出来ないけれど、苦笑いを浮かべながらも足早に敵地からの脱出に成功した。
なんか‥‥今日は‥いつもよりもすごかった気がする‥‥
新鮮な空気を取り込みたくて、
開けられた窓から顔を出し、思いっきり空気を肺に取り込んだ。
「おはようございます‥」
おっ?今日は1番乗りじゃないんだ‥
通い慣れた医事課のドアをくぐると、
窓際に光り輝く頭頂部をお持ちになる
医事課部長を発見した
『中原君、いやーー今朝も早いねぇ。
良ければ一杯いかがかね?』
「いい香りですね‥‥って!!
今日は何がお望みですか?」
『ええっ!?』
大の珈琲好きな部長は、高級豆を
取り寄せ嗜むのが趣味だが、部下に
飲ませるなんてことはまずない。
自分のデスクに荷物を置いた後、
腕組みをして部長を睨むと、部長の
セットしきれてない髪が一房顔に
ハラリと落ちた。
『‥‥の‥の、望みなんてそんな言い方
しなくても‥‥。あの‥これをね、
先生に持って来て欲しいって頼まれて
ね?行ってもらえると嬉しいなと。』
バァン!!
『ヒッ!!あ、熱っ!!!』
デスクに両手を叩きつけてから、
もう一度部長をひと睨みすると、
飲みかけていた珈琲で火傷をしそうに
なっていた。
今ハマっているアーティストの音楽に
テンションを無理やり上げる。
何故なら、先月まで私の職場は
本当に静かで、穏やかな時間を
過ごせる癒やしの場所だったのに、
あの日からからそれが失われて
しまったのだ。
ガチャ
ヴッ!!
「‥ッ‥おはようございます。」
蛍光灯は薄暗く、外の空気とは打って
変わり、体に悪そうな空気が充満し
たロッカールームに思わず口と鼻を
押さえてしまう。
ああ‥‥なんて‥‥甘ったるい‥‥‥。
様々な香りが充満するハーレムのような場所は以前の面影すら残っていない
ここ‥そもそも‥医療現場よね‥‥?
この香りは体調不良で来院された患者さんには毒になりそうだ。
診療時間1時間前からヘアメイクに
力を入れる看護師さん達に頭を下げて
1番奥へ避難すると、もう一度鼻を
摘んで頭を小さく横に振ってみた
さっさと着替えてここから出ないと
窒息死するな‥‥。
白のパリッとしたブラウスと黒とグレーのチェックのベストを身につけ、グレーの膝丈のスカートを急いで身につけ、
鎖骨下まであるサラサラな髪は
いつも通り1つでキュっと束ねた。
「‥‥お先です‥ウッ‥」
竹原看護師長‥‥
巻きすぎた髪が最早、大事故寸前ですよ?何もしない方が綺麗なのに勿体無い‥‥。
至ってみんな真面目にヘアメイクを
しているのだから、馬鹿になんて
出来ないけれど、苦笑いを浮かべながらも足早に敵地からの脱出に成功した。
なんか‥‥今日は‥いつもよりもすごかった気がする‥‥
新鮮な空気を取り込みたくて、
開けられた窓から顔を出し、思いっきり空気を肺に取り込んだ。
「おはようございます‥」
おっ?今日は1番乗りじゃないんだ‥
通い慣れた医事課のドアをくぐると、
窓際に光り輝く頭頂部をお持ちになる
医事課部長を発見した
『中原君、いやーー今朝も早いねぇ。
良ければ一杯いかがかね?』
「いい香りですね‥‥って!!
今日は何がお望みですか?」
『ええっ!?』
大の珈琲好きな部長は、高級豆を
取り寄せ嗜むのが趣味だが、部下に
飲ませるなんてことはまずない。
自分のデスクに荷物を置いた後、
腕組みをして部長を睨むと、部長の
セットしきれてない髪が一房顔に
ハラリと落ちた。
『‥‥の‥の、望みなんてそんな言い方
しなくても‥‥。あの‥これをね、
先生に持って来て欲しいって頼まれて
ね?行ってもらえると嬉しいなと。』
バァン!!
『ヒッ!!あ、熱っ!!!』
デスクに両手を叩きつけてから、
もう一度部長をひと睨みすると、
飲みかけていた珈琲で火傷をしそうに
なっていた。
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