こちら元町診療所
「おはようございます!
 受付番号1番の方から順番に
 こちらにお並びください。」


『靖子さん、今日も朝からすごい長蛇の
 列ですね。まるでコンサート会場の
 受付をしているみたいです!』


「ほんと‥‥小さな街の診療所なのに
 ね。浜ちゃん、安田さん!今日も
 午前中頑張ろ!!」


人口5000人にも満たないこの街で、
美味しいご飯が出るわけでもない。

映えるスポットでもないのに、
毎朝行列をなす場所がある。


そこの小さな診療所の診察室に
行けば素敵な医師に会える


そんな噂が広まりもうすぐ一年だ。


大きな大病院ほどではないけれど、
私にとってこの元町診療所だけは
無くなって欲しくない大切な場所だ。


勿論これからもずっと‥‥‥


『靖子?‥黄昏てる?』


「先生と初めて会った時のことを
 思い出してたんですよ。」


『それは嬉しいな。』


「ちょっ!!こんなとこで辞めて
 ください!!訴えますよ!?」





さぁ‥‥今日もいつもの1日が始まる。


白い診療所の入り口に建てられた看板に
街を歩く人が立ち止まる。

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こちらは『元町診療所』です。
今後も多くの患者様に安心してご来院
して頂ける診療所をどうぞよろしく
お願いします。


元町診療所スタッフ一同

END
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