それでも、あなたを愛してる。【終】
「……お兄ちゃん」
「ん?」
「帰ろう。ふたりの家に」
「……」
「ここは、眩しいよ」
私たちが、失ったもの。
家族、両親、愛する人、そして、兄は未来も。
そんな私達に、生きている意味はあるのだろうか。
─なんて、お父さんとお母さんが悲しむようなことは絶対に言いたくないし、そんなこと、守ってもらった依月が言っていい台詞じゃない。
「─帰ろうか、依月」
お兄ちゃんは依月の意図を汲んだのか、優しく微笑んで、手を差し出してくれる。
その手を取って、依月達は依月達だけの、静かなマンションへ帰ることにした。