君の隣が、いちばん遠い
ある日、紗英ちゃんと柊くんと、4人で遊ぶ約束をした。
行き先はゲームセンター。
「ここ、クレーンゲーム充実してるんだって!」
紗英ちゃんが嬉しそうに言った。
「えっ、まさか得意とか?」
「実は……俺、ちょっと自信ある」
柊くんが得意げに言ったその後、彼はぬいぐるみを一発で取ってみせた。
「すごい……!」
「わたしもやってみたい!」
盛り上がる中、自然とプリクラの流れになる。
「ほら、ひよりも一ノ瀬くんと撮らなきゃ!」
「えっ……でも……」
ふたりでプリクラなんて、緊張しすぎて倒れてしまいそうだった。
けれど、一ノ瀬くんが「記念に」と優しく言ってくれたから、勇気を出してシャッターの前に並んだ。
肩が少しだけ触れて、シャッターが光る。
そのときの写真は、今でもスマホの中に、大事に保存してある。