君の隣が、いちばん遠い
ぽつりと呟いた言葉が、自分でも驚くほど甘く響いて、思わず頬に手をあてた。
真冬の冷たい風が、ほんの少し火照った頬に心地いい。
その夜、家でお風呂から上がったとき、リビングでは美帆ちゃんとおばさんがテレビの通販番組を見ていた。
「おかえり。お風呂、早かったね」
「ちょっと寒くて、すぐ出ちゃった」
わたしがソファに座ると、美帆ちゃんがニヤッとした顔でわたしを見つめてきた。
「ねぇ、ひより。クリスマス、どうするの?一ノ瀬くんと一周年でしょ?」
思わず肩が跳ねた。
「そ、そうだけど……なんで知ってるの?」
「そりゃ、見てればわかるよ〜。ていうか、ひより、最近すっごくそわそわしてるもん。バレバレ」
「……そうかな」
うつむいたわたしの顔が真っ赤になっているのは、自分でも分かった。
「プレゼントとか、もう決めたの?」
「ううん、まだ……何がいいのかなって、ずっと考えてて。でも、せっかくの一周年だし、ちゃんと気持ちが伝わるものにしたいなって思ってる」