君の隣が、いちばん遠い
「ふーん……じゃあさ、土曜日、一緒に探しに行く?いい感じのお店、いくつか知ってるよ」
「えっ、ほんと?」
美帆ちゃんはうん、と頷いて笑った。
「せっかくの記念日だもん。後悔しないようにしなよ。あ、でも、あんまり頑張りすぎて重くならないようにね」
「……それ、プレッシャーなんだけど」
わたしが苦笑すると、美帆ちゃんは声をあげて笑った。
翌日の昼休み。
教室で紗英ちゃんとお弁当を食べていると、ちょうど隣の席の柊くんと一ノ瀬くんが話している声が耳に入った。
「で、クリスマスどうするんすか、センパイ。そろそろ決めておかないと、予約とか取れなくなりますよ?」
「……分かってる。でも、あんまり特別っぽくするのも、ひよりが緊張しそうだしな」
「いやいや、特別っぽいのが嬉しいんですよ、女子は。俺だって、岸本に何あげようかめっちゃ悩んでるし」
「お前ら、付き合ってねぇだろ」
「いや、まぁ……それはそうなんすけど。気持ちの話っすよ」
その会話を聞きながら、わたしはお箸の動きを止めてしまった。