君の隣が、いちばん遠い


「……ひよりって、ほんとすごいよな。いつも、俺の想像を超えてくる」

「すごくなんてないよ。ただ……一緒に、がんばりたいだけ」

「……うん。ありがとう。じゃあ、来週の日曜、家に来てくれる?」

「うん」


彼の手が、少しだけ強くわたしの手を握り返す。


未来はきっと、まだぼんやりしていて、掴みきれないけど。

それでも、こうして手を取り合って歩いていけるなら、きっと大丈夫だと思える。







週末、遥くんの家を初めて訪ねた。


玄関先で彼のお母さんが顔を出し、丁寧に挨拶をしてくれた。

以前に聞いていた険悪な空気とは少し違って、どこかぎこちないけれど、穏やかさもあった。


「お邪魔します」


リビングに案内され、ダイニングテーブルに並んで教科書を広げる。

部屋の奥には、遥くんのお父さんが座って新聞を読んでいた。

< 293 / 393 >

この作品をシェア

pagetop