君の隣が、いちばん遠い


──「ありがとう。ずっと支えてくれてたこと、ちゃんとわかってた」


読み返すたびに、胸がぎゅっと温かくなる。


キッチンから戻ってきた彼が、グラスをふたつ、机の端に置いた。


「ほら。氷もちゃんと入れてきた」

「ありがとう」


氷がカラン、と鳴った音に、わたしはそっと笑った。


「……あのさ」


遥くんが、おもむろにペンを置いて、わたしの方を見た。


「昨日、母さんと話したあと、久しぶりに家族でちゃんと夕飯食べた」

「うん」

「父さんも母さんも……ありがとうって、言ってた。ひよりが、俺のこと支えてくれてたって」

「……ううん、わたし、何もしてないよ。ただ隣で見てただけ」

「それがすげえんだって」


彼の声が少しだけ震えていた。

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