君の隣が、いちばん遠い
③あなたの味方でいたいから
夏の空は、今日も高く澄んでいた。
蝉の鳴き声が一日中響くなか、一ノ瀬くんの家のリビングで過ごす日々は、わたしにとって特別な時間になっていた。
静かな空間。
広げたノート。
隣にいる遥くんの、集中した横顔。
そのすべてが、わたしを前に進ませてくれる。
「……やっぱ、今日暑いな」
小さく呟いた遥くんが、扇風機の風を手で仰ぐ。
「でもクーラー、ずっとつけてると冷えすぎちゃうし」
「ひより、体冷えやすいしな。俺、冷たい麦茶取ってくる。ひよりもいる?」
「うん、お願い」
彼が席を立ってキッチンへ向かっていく。
その背中を見ながら、ふと、昨日のことを思い出していた。
あの日――。
遥くんのお母さんが、彼に向かって「やりたいこと、ちゃんとやっていい」と言ってくれた日の夜。
わたしのスマホに届いた彼からのメッセージは、今でも心に残っている。