君の隣が、いちばん遠い
「ひより。明日、図書館いく?」
そんなとき、LINEの通知が画面に浮かび上がる。
遥くんからの短いメッセージ。
それだけで、安心してしまうわたしがいる。
『行くよ。10時集合にしよ?』
そう打ち込んで、スタンプを添えて送信した。
次の日。
待ち合わせの図書館前で、遥くんがすこしだけ息を切らせてやってきた。
「ごめん、駅のトイレ寄ってたらギリギリに……」
「ううん、大丈夫。来てくれてありがと」
二人で席を取り、ノートを広げる。
無言で参考書を開き、赤シートを片手に暗記に集中する。
他愛もないけれど、静かに流れるこの時間が、どこか心地いい。
昼休憩に、持ってきたサンドイッチを一緒に食べながら、わたしはふと聞いてみた。
「ねえ、遥くん。もしさ……大学、第一志望じゃなくなっちゃったら、今みたいに一緒にいられなくなるのかな?」
「……どうして急に?」