君の隣が、いちばん遠い


「なんとなく。たぶん、試験が近づいてるから、弱気になってるのかも」


少し間を置いてから、遥くんはパンの包みを置き、真っ直ぐにわたしを見た。


「大丈夫。たとえ大学が離れてても、ちゃんと会える。距離があるってだけで、心まで離れるわけじゃないだろ?」


その言葉は、理屈よりもずっと力があった。


「うん……そうだよね」


わたしは小さく笑い、彼の言葉に背筋が伸びるような気持ちになった。


それでも、現実は甘くない。

過去問は思ったより難しく、模試の判定はまだ合格圏外のまま。

勉強すればするほど、「まだ足りない」という感覚が襲ってくる。


それでも――やるしかない。

目指す場所に近づくには、それしかないのだ。



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