君の隣が、いちばん遠い
家に帰ると、美帆ちゃんがリビングでテレビを見ていた。
リモコンをカチカチ動かしながら、わたしをちらっと見て言った。
「おかえり。なんかさ、最近のひより、ちょっと怖いくらいガチだよね。雰囲気」
「え、そうかな?」
「うん。なんか、受験戦士って感じ。わたしにはそういう緊張感なかったから尊敬するよ」
苦笑しながら、こたつに入る。
たしかに、勉強に必死になりすぎて周りが見えてない気もする。
でも、やるって決めた。
推薦で落ちたからこそ、絶対にここで受かりたい。
その夜、遥くんからメッセージが届いた。
《明日の夜、うちで勉強しない? 母さんが、また来てって言ってた》
胸がじんわりとあたたかくなる。
ううん、それ以上に――安心した。
彼の家が、少しずつ“安心できる場所”になっていることが嬉しかった。