【番外編】過保護な医者に、今度は未来まで守られてます
カンファレンス室を後にし、神崎は一人で静かな廊下を歩いていた。
白衣のポケットに手を入れ、ゆっくりと足を運ぶ。
昼の合間、病院の廊下には珍しく人の気配が薄かった。
ふと立ち止まり、窓の外に目をやる。
淡く色づき始めた桜のつぼみ、陽射しの柔らかさに、冬の名残がようやく消えつつあることを感じさせる。
「……春だな」
ぽつりと、独り言のように呟いた声が、誰もいない廊下に溶ける。
――一年が経った。
あの夜、彼女が突然目の前に現れて。
傷だらけで、それでも必死に生きていたあの姿。
たくさんのことがあった。
病気のこと、手術、リハビリ、仕事、そして――
一緒に笑った日々も、泣いた夜も。
全てを経て、今、彼女は前を向いて歩いている。
胸の奥に、じんわりと熱いものが込み上げてきた。
ぼんやりと視界が滲む。
こんなとき、自分がどれほど彼女に救われてきたのか、思い知らされる。
だが、そのまま感傷に浸るわけにはいかない。
神崎はまぶたを瞬かせ、わずかに首を振った。
そして、再び歩き出す。
彼女が強くなった分、自分も強くなりたい――そう思いながら。
春の陽射しに背を押されるように、彼の足取りは次第に力を取り戻していった。
白衣のポケットに手を入れ、ゆっくりと足を運ぶ。
昼の合間、病院の廊下には珍しく人の気配が薄かった。
ふと立ち止まり、窓の外に目をやる。
淡く色づき始めた桜のつぼみ、陽射しの柔らかさに、冬の名残がようやく消えつつあることを感じさせる。
「……春だな」
ぽつりと、独り言のように呟いた声が、誰もいない廊下に溶ける。
――一年が経った。
あの夜、彼女が突然目の前に現れて。
傷だらけで、それでも必死に生きていたあの姿。
たくさんのことがあった。
病気のこと、手術、リハビリ、仕事、そして――
一緒に笑った日々も、泣いた夜も。
全てを経て、今、彼女は前を向いて歩いている。
胸の奥に、じんわりと熱いものが込み上げてきた。
ぼんやりと視界が滲む。
こんなとき、自分がどれほど彼女に救われてきたのか、思い知らされる。
だが、そのまま感傷に浸るわけにはいかない。
神崎はまぶたを瞬かせ、わずかに首を振った。
そして、再び歩き出す。
彼女が強くなった分、自分も強くなりたい――そう思いながら。
春の陽射しに背を押されるように、彼の足取りは次第に力を取り戻していった。