氷壁エリートの夜の顔
あれは嘘なんですと言いかけて、言葉を飲み込む。
そんな個人的な事情を語っても、結城さんにとっては迷惑なだけだろう。
「……大丈夫です。お気持ちだけ、ありがたく受け取っておきます」
ちょうどそのとき、ラウンジのガラス戸が開いて、美玲が電子レンジ用のポップコーンを片手に入ってきた。
「咲! ……あ、結城さんも。お疲れさまです」
結城さんは軽く会釈しながら「お疲れさまです」とだけ返し、先ほどの雑誌を手にして、ラウンジの隅のテーブル席へと移動した。
美玲はポップコーンを電子レンジにセットし、自販機でコーラを選ぶ。彼女の「ポップコーンには絶対コーラ」のこだわりは相変わらずだ。
「ねえ、今日うち来ない? たまには家飲みしようよ。……それとも、今日も『夜の部』?」
彼女はもちろん、私が夜にバイトしていることは知っている。
でも、結城さんもそのことを知っているとは、思っていない。ましてや、あの人が常連だなんて──きっと想像もしていないだろう。
だから彼にバレないように、わざわざ「夜の部」なんてシークレットコードを使ったのだ。
そんな個人的な事情を語っても、結城さんにとっては迷惑なだけだろう。
「……大丈夫です。お気持ちだけ、ありがたく受け取っておきます」
ちょうどそのとき、ラウンジのガラス戸が開いて、美玲が電子レンジ用のポップコーンを片手に入ってきた。
「咲! ……あ、結城さんも。お疲れさまです」
結城さんは軽く会釈しながら「お疲れさまです」とだけ返し、先ほどの雑誌を手にして、ラウンジの隅のテーブル席へと移動した。
美玲はポップコーンを電子レンジにセットし、自販機でコーラを選ぶ。彼女の「ポップコーンには絶対コーラ」のこだわりは相変わらずだ。
「ねえ、今日うち来ない? たまには家飲みしようよ。……それとも、今日も『夜の部』?」
彼女はもちろん、私が夜にバイトしていることは知っている。
でも、結城さんもそのことを知っているとは、思っていない。ましてや、あの人が常連だなんて──きっと想像もしていないだろう。
だから彼にバレないように、わざわざ「夜の部」なんてシークレットコードを使ったのだ。