氷壁エリートの夜の顔
 ふたりに笑われて、思わず苦笑いしながら肩をすくめる。
 仕事では絶対に忘れたりしないのに、買い物メモまで作っておいて、肝心の主役を抜かすなんて。確かに、プライベートの私は少し抜けているかもしれない。

「たまにお母さんと話してるんだよ。お姉ちゃん、仕事で周りの人に迷惑かけてないといいねって」

 私は赤くなって、むきになって反論する。

「心配してもらわなくても、ちゃんと勤めてますからね」

「あと、母さん、咲にそろそろいい人できないかねぇって言ってたよ」

 出た。定期的に実家方面から飛んでくる恒例トピックに、心の中でため息をつく。私はいつものように、笑ってはぐらかすことにした。

「……私の恋愛運は長期メンテナンス中です。復旧の予定は未定となっております!」
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