その声を聞かせて
私はすぐ側にあったソファに凌を押し倒すみたいに座らせ、すかさず上に跨った。

そして凌の両肩に手を乗せてキッと真っ向から睨む。

凌はそんな私を見て真顔のままジッと見つめるだけ。

なんで…

男なんていらないって…

金持ちでイケメンなんて特に…

違う。
そうでもして言い聞かせていないとダメだった。

どこかでは分かってた。

凌に惹かれてるって…
気付かないふりをしてたのに。

私は知ってる。

口約束なんてなんの意味もないって。
プロポーズまでされて同棲までしてたのに、あんなにあっさり…

私だって…
一生一緒にいようと心に決めた相手をあんなにも簡単に忘れてしまえる。

そんな私が…

こんなに…
こんなにも素敵な人から愛される資格なんてない…

「噛むな」

知らぬ間に唇を噛み締めていた私に、凌は親指の腹を当てる。

甘く囁くような声を添えて。

それは声優の川嶋暖でも、アーティストのNRでもなくて、普段の鳴海凌とも違う魅惑的な声だった。
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