その声を聞かせて
いないとは思うけど。
でもわからない。

「知ってる通り恋人はいない。残念ながら」

残念ながらって…
でもやっぱりいないんだ。

「恋愛なんてくだらないって言ってたもんね?」

こんな背中を向けたまま、リビングで座りもしないで二人で何してんだか。

「言ってたな。女も嫌いだし」

ほら。
そうじゃん。
んじゃあの歌は誰の歌?

「前まではな」

シンと静まり返る。

前まではって…

「まだ気付かない?」

凌はついに私の真後ろに立った。

ドクンドクンと脳まで揺れるほど鼓動が強く振動する。

そしてそっと腕が前に回され後ろから抱きしめられた。

「由麻だよ。由麻を想って書いた」

そう言って耳元で囁かれ耳にキスをされる。

何かがガラガラと音を立てて崩れていく。

もう息が出来ない…

訳もわからず涙が出そうになる。

どうして…

どうして私…
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