その声を聞かせて
「あなたが元婚約者だなんて私の人生最大の汚点だわ」
そう言うと凌が手をキュっと握ってきた。
ん?
凌を見上げる。
「言わせとけ」
凌は少し屈んで耳元で私にだけ聞こえるように話す。
その声はとても落ち着いていて、まるで相手にしていない感じだった。
そうね。
相手にするだけ無駄かも。
「弱いものは良く吠える。まさに君の事だね。それじゃ、俺たちはこの辺で」
そう言うと、なんと凌の車の向かい側に直樹の車が止めてあった。
前と変わらず赤のポ◯シェ。
パパとママからのプレゼントのやつ。
凌と目を合わせて私たちも車に乗る。
今日の車は偶然にもこちらもポ◯シェ。
色はダークグレイ。
そして申し訳ないがまるで直樹の車とは年式もグレードも違くてこっちが気まずいくらいだ。
凌は顔色ひとつ変えずに助手席を開けて私を乗せる。
そして自分も乗り込みさっさと車を出した。
横目で見たところ、直樹は目も口も情けなく開けて驚いた顔をしていた。
となりの女性も。