その声を聞かせて
「逃げる気か? やっぱり人に言えないような仕事なんだな? 由麻、騙されるな!」

へ?
今度は私?
てゆーか騙されてないし。

「俺が話したら二度と話しかけないと約束できるか? それから他言無用だと」

え、まさか言う気!?

「ああ。聞いてやろうじゃないか」

直樹はフンと鼻息を立てて腕を組む。
馬鹿らしい。

「いいって、行こう」

私は凌の腕を引っ張る。

「でもこいつ一生うるさそう」

凌は私を見下ろす。

「んな!? う、裏社会の人間じゃないとしたら君なんてどうせ成り上がりのボンボンだろ!」

威勢だけはいいようだ。
別れ話を切り出した時とは大違い。
あんなにビビり散らかしていたのに。

それに成り上がりのボンボンは自分の事では?

呆れて何も言えずにいると凌がため息をつく。

「はぁ。一度しか言わないから良く聞いておけ。俺は鳴海凌。鳴海総合病院の次男で、仕事は川嶋暖という名で声優をしてる。あとはNRという名のアーティストだ。それからトレーダー。これで納得したか?」

はぁ。
言っちゃった…

「な、鳴海総合病院!? 声優!? NRだと!?」

「一つ言っておくが、資産の有無でマウントを取るのはやめろ。みっともない。俺の事を誰かに話して広まれば問答無用でお前だと判断して法的処置を取る。それから、由麻は俺のだ。一生関わるな」
< 236 / 280 >

この作品をシェア

pagetop