その声を聞かせて
しばし無言が続く。

「あ、あの…ありがとう」

「ん。もう少し寝てろ」

凌はそう言うと部屋にある椅子に腰掛け、何か本を読み始めた。

うちにあんな本あったかな?

ないな。

ていうか今私の家は史上最悪に散らかっている。

それは人にお見せできない程に。

あかん。

でも…
ま、いっか!

それより…

「その本…」

「ん? ああ…、台本」

「台本?」

そしてパタンと本を閉じて私を見る。

「川嶋 暖てわかる?」

その瞬間ピンと来た。

「は?」

嘘でしょ?
嘘だと言って…

待って待って!

心の準備が…

「俺、声優してんだ」

してんだ…してんだ…してんだ…んだ…んだ…

やまびこのように私の脳内でリピートされる。

はぁー

嘘だろー

川嶋暖てこんなタトゥーだらけのオシャレボーイだったの?

キックボクシングはプロ並みで?

無愛想で?

いろいろパニックだ。

彼が私に慌てて駆け寄るのを見たのを最後に、私は意識を手放しそうになる。

「ちょ! おい!」

ガッと肩を支えられてなんとか堪えた。

危な。
白目むいた完全に。

「嘘だ…」

思ってたんと違う!

「こんなん嘘つかねぇよ」

「あのさ、ひとつ聞いていい?」

「何」

「もしかして歌手もじゃない?」

「あー…わかる?」
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