その声を聞かせて
「恋愛なんてくだらねぇ」

なんだか凌も私と同じで、女嫌いな理由がありそうだとその時思った。

「男なんて嫌いよ」

「俺も男だぞ」

そう言って目を合わせてクスッと互いに笑った。

「てか、部屋ずいぶんワイルドに仕上がってるけど?」

げ!

「あーあははは。ちょっと片付ける時間なくってぇー」

直樹もいなくなって荷物を運び出したおかげで散らかってしまい、そこからはダラダラと生活してたもんだから…

「片付けてやろうか?」

はい?
声優して、歌手もしてるような人に頼めるわけないでしょ!

「気にしないでー。そのうちちゃんと片付けるから」

それからおかゆも食べて薬も飲んだところで、凌は帰って行った。

なんか変なの。

言うならジムが同じだけのただの顔見知りだ。

連絡先だって知らない。

なのにお互いの家には行ったことがあるという奇妙な関係だ。

婚約破棄をしたばかりで恋愛する気はないけど、いかんせんあの見た目に惑わされる。

あとは声。

非常に耳障りが良い。

なんの役も演じてない素の声が。

改めて変な気を起こすなよと自分に言い聞かせた。

何気なしにイヤホンをつけてNRの楽曲を聴いてみる。

いや、うますぎ。

これイヤホンで聴いたらダメなやつ!

耳犯されちまうわ!

私は慌ててイヤホンを外した。
< 69 / 280 >

この作品をシェア

pagetop