サルビアの育てかた
第二章
しばらくはノース・ヒルの一件を思い出すと、身体に拒否反応が出た。気持ち悪さもしつこく残っている。
忘れたい。忘れられない。毎晩、ふとしたときに身体の奥がゾワッとした。
だけど、そんな嫌悪感を忘れさせてくれる人がいた。
あの日を境に、彼が毎晩のように電話をくれるようになったの。
夜の十時くらいかな。大体いつも決まった時間に私の携帯電話が着信音を鳴り響かせる。
今日も、そう。
棚の上に置いてあった携帯が鳴った。どうしても口元が緩んでしまう。
ドキドキしながら通話ボタンを押すと、すぐに電話の向こうから私の大好きな声が聞こえてきた。
『レイ、まだ起きていたんだな』
「うん……。だっていつも電話くれるでしょう? ちゃんと待ってるんだよ?」
『もし疲れていたら寝ててもいいんだぞ。俺が勝手にコールしてるだけなんだから』
「ううん。声聞きたいの。安心するから……」
──あ。私、また妹らしくないこと言ってる。これじゃなんだか、恋人に贈るような台詞だよね?
彼はどんな反応をするんだろう、と身構える。だけど私のちょっとした心配なんて払拭するように、電話越しで彼は小さく笑うの。
『そうだな、俺もだよ。レイの声を聞いてからの方が、よく眠れるんだ』
まただ。私の胸が、キュッと締めつけられる。そんな風に言われたら、もう一度あなたに「大好き」って伝えたくなってしまう。
あなたは──ヒルスは勘違いしているかもしれないけれど、この気持ち、妹としての意味じゃないからね。全然違う想いがあるんだよ。
だけど……私たちは義理でも兄妹。ヒルスはきっと、私が自分の事情を知ってしまったことには気づいていない。
秘める想いがあったとしても、私はこれからもあなたの妹として振る舞っていくしかない。
忘れたい。忘れられない。毎晩、ふとしたときに身体の奥がゾワッとした。
だけど、そんな嫌悪感を忘れさせてくれる人がいた。
あの日を境に、彼が毎晩のように電話をくれるようになったの。
夜の十時くらいかな。大体いつも決まった時間に私の携帯電話が着信音を鳴り響かせる。
今日も、そう。
棚の上に置いてあった携帯が鳴った。どうしても口元が緩んでしまう。
ドキドキしながら通話ボタンを押すと、すぐに電話の向こうから私の大好きな声が聞こえてきた。
『レイ、まだ起きていたんだな』
「うん……。だっていつも電話くれるでしょう? ちゃんと待ってるんだよ?」
『もし疲れていたら寝ててもいいんだぞ。俺が勝手にコールしてるだけなんだから』
「ううん。声聞きたいの。安心するから……」
──あ。私、また妹らしくないこと言ってる。これじゃなんだか、恋人に贈るような台詞だよね?
彼はどんな反応をするんだろう、と身構える。だけど私のちょっとした心配なんて払拭するように、電話越しで彼は小さく笑うの。
『そうだな、俺もだよ。レイの声を聞いてからの方が、よく眠れるんだ』
まただ。私の胸が、キュッと締めつけられる。そんな風に言われたら、もう一度あなたに「大好き」って伝えたくなってしまう。
あなたは──ヒルスは勘違いしているかもしれないけれど、この気持ち、妹としての意味じゃないからね。全然違う想いがあるんだよ。
だけど……私たちは義理でも兄妹。ヒルスはきっと、私が自分の事情を知ってしまったことには気づいていない。
秘める想いがあったとしても、私はこれからもあなたの妹として振る舞っていくしかない。