サルビアの育てかた


 私の手に包まれるブーケの花は、父のプレゼントから生まれた白い『サルビア』。結婚式によく似合う美しい色だった。

 ヒルスは知ってるかな。『サルビア』の花はとても繊細で、少しでも触れるとすぐに落ちてしまう。だけどこの白い花びらは、とても強くて。大切に抱きかかえれば花が散ることはないの。

 チャペルの扉がゆっくりと開かれた時、私は彼のエスコートでウェディング・ロードを一歩ずつ歩み始める。ステンドグラスから差し込む陽の光が、まるで二人の未来を描いているようだった。

 本当は父と腕を組んで歩きたかったこの道を、私は彼と二人きりで最初から最後まで進んでいく。
 でも平気だよ。白い『サルビア』のブーケは、家族の想いがたくさん込められたものだから。今でも私のそばにいるような気がするの。

 大好きな仲間たちに見守られながら、私は彼と一緒に一歩ずつ確実に、その先の道を歩んでいった。

 ──ねぇヒルス。私、ちゃんと分かってるからね。お父さんとお母さんが教えてくれたこと。
『サルビア』の花言葉は【家族愛】。私たちにぴったりの、素敵なお花だよね。

 私たちは新しい家族と共に、これからも明るい未来が待っているのだと信じて生きていく。


「なぁ、レイ」
「なに?」
「大好きだよ」
「私も。ヒルスのこと世界で一番大好き」


 病める時も健やかなる時も、私はあなたと共に『家族の愛』を育てることを誓います。

【終わり】
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