暇な治療院
 ぼくもこれまで鍼とかマッサージとかやってきました。
そのたびに「先生のおかげで良くなりました。」と言われてきた。 でもそうかな?
 治すのはあくまでも患者さん自身の体なんです。
ぼくらは鍼や手を使って治るように手伝っているだけ。
 医祖 ヒポクラテスが明言を残しているでしょう。
「我々は病気を治す手伝いをしているだけだ。」
 本当に病気と闘っているのは患者さんなんです。 医者じゃない。
ドキュメンタリー番組などを見ていてもそこを勘違いしてる番組があまりに多い。
 そりゃあ医者は大変ですよ。 ある時は検査をし、ある時はメスを握り、ある時は薬を選び、、、。
またある時は塞いでいる患者さんに寄り添って声を掛ける。
 それはそれは大変な命懸けの行動ばかり。 でも根本は患者さんが助かろうとするのを助けているだけ。
 そこを大げさに切り取って「医師が命懸けで戦っている!」などとアピールすることは無いんだ。
 だったらぼくらは何もしてないみたいじゃないか。 ぼくらだって戦ってるんだよ。
 ただ基本にしているのはあくまでも患者さんのサポーターだってことだ。
患者さんを元気にすればいい。 昨日より元気にすればいい。
そう思ってぼくはここまでやってきた。
それはもちろん、これからも変わらないと思う。
 だからね、薬は最低限でいいと思う。 あれもこれも治してしまったら医療がダメになる。
いろんな手術法が開発され、いろんな検査法も発見されてきた。
そしてこれまでにものすごい数の新薬も売り出されてきたし遺伝子操作も研究されてきた。
 そして今ではIPS細胞も最大のビジネスチャンスを迎えている。
でもそれで本当にいいのかなあ? 医者は全てを治せる魔術師じゃないんだよ。
完璧に全ての病気を治せたらどうなるだろう? 世界は終わる。
そんなんじゃあ人間が人間でなくなるよ。 だから不完全なままでいい。
それが人間じゃないか。 病気をするから人の痛みが分かってくる。
障害が有るから何とかしようと頑張って生きる。 それでいいんじゃないのか?
 いずれは病気も障害も無くなるような話をする人たちも居るけれどそれはおかしいと思う。
そんなことをしたら神の領域に手を出したことになるんじゃないのか? 末恐ろしいことだよ。

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