For Myself
突然、看護師の声が診察室に響く。



「立石さんのお母さんお見えになりました!ここに案内しちゃって大丈夫ですか?」



ちらりと彼女の方を見て大丈夫そうだったため、通して下さいと伝えた。と言っても、受付からここまで距離はあるし時間はある。



彼女が思い起き上がろうとしているのを見守っていると、姿勢を保てなかったのか倒れて先程の寝る体制に戻ってしまった。



彼女は貧血もあるし、採血後も気を失っている。念の為大丈夫か調べようと近づいて、パパッと脈を測ったりする。とりあえず、先程から悪化はしていなそうだが先程よりも息が上がっている。寝たままでいいならその方がいい。



「寝たままは嫌か?まだ、貧血はあるから寝たままでお願いしたいんだが。」



「お母さんがなんて思うかなって。」



もしかしたら、家族関係が良好ではないのかもしれない。自分のことなのにどこか他人行儀なのはそういうところから来ているのだろうか。でも、ここは病院である。



「大丈夫だ。ここは病院だ、君も体調が悪いからここにいる。気にしなくていい。誰でも体調は崩し、病気にもなる。気を張りすぎるな。」



そういうと、彼女の肩が落ちるのを確認した。
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