For Myself
少ししたら母と看護師がドアから入ってきた。



「渚…遅くなってごめんね。」



彼女の母親が彼女をみて一瞬目を見開いたのがわかった。同じ家に住んでいてどんどん体が細くなる子供を見て何も感じなかったのか。



彼女を見た反応で、何となくわかる、この親はこの子をよく見ていないと。そして何故か、声をかけられた彼女の顔が嬉しさと寂しさが混じった表情であったこともその考えを促進させる材料だった。



「渚さんのお母さんですか。初めまして、医師の佐久間 颯介と言います。」



そこから、俺は彼女にしたように、彼女の状態を話始めた。時間がかかってしまうのは元から分かっていた。でも、彼女の母親はあまり関心がないのか、時より頷き、投げかけられた質問に答えるだけだった。



同居しているのに、ほとんどの回答が知らない、分からないばかりで呆れすらしてしまう。親として子供を全く見ていないことが伝わってきてしまった。



これを聞いて彼女はどう思うのか、彼女の顔を見ようとそちらを見ると、目を閉じて眠っていた。検査の疲れからか、体力がないからか、でも、寝れていることとこの会話を聞いてないことに安心する。
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