君を大人の果実とよぶ。
「だと思いました」
そんな京子の言葉にも驚いたが、
京子はまっすぐ前を向いていた。
そんな視線の先を辿って、
テレビの隣にある、バラのような花の影を見やる。
「お見通しなんだね、さすがきょんちゃん」
「怒りたいのは、黒川さんの方だと思う」
「うん。そうだね。
でも、僕ももうどうでもいい」
「…はい?」
「きょんちゃん以外、どうでもいいもん」
「ホント、最っ低ですね」
京子の視線を感じて、
牧はわざと舌を出して見せた。
「えへっ☆」
「いつか刺されますよ」
「怖いねぇ。きょんちゃん守ってー?」
「えっ…キャッ!」
この雰囲気にかまけて、
牧は京子に勢いよく覆いかぶさった。
必死に抑えようとする理性とは裏腹に、
京子が欲しくてたまらなかった。
突然押し倒されたというのに、
牧を見上げる京子の表情は至って冷静だった。
「こうもスムーズだと、逆に怖いな」
「もっと抵抗した方がいいですか?」
試すようなその顔も、声も、
あの夜と同じだった。
「"もう、逃げない"」
「ぇ…」