君を大人の果実とよぶ。



京子の両手が、牧の耳を塞ぐ。

何も聞こえない。

何も、見えない。

この子以外は…。


その温もりを噛みしめるように、目を閉じる。

そして唇に感じる、優しい感触。

たった一度、触れるだけのキスは、
徐々に深く、長く。

ずっと求めていた物を味わうように、
けれども夢中で、苦しくて、

幸せで、壊れてしまいそうだ…。


どれだけの時間が経ったのか。

はぁ…と息を吐いて、離れる頃には
部屋中が熱気に満ちたように、
身体は火照り、余韻にすら溺れそうだった。

京子の唇に引く糸を指で拭って、
牧はもう一度その濡れた瞳を見つめた。


「…いいの、きょんちゃん」

「そんなこと、聞かないでください」

「でも…」

「欲しいんです」

「っ…!」

「あなたが、欲しいんです」


ずっと欲しかったその言葉が、
二人の中で、引き金となった。

激しく求め、溺れていく。

ようやく重なり合った肌に、
込み上げてくる愛おしさを感じて。

何もかもが愛おしい。

好きで、好きで、たまらない。

おかしくなってしまうほどに、
甘い幸せを、全身で確かめ合っていた。

何度も、何度も。

深く、強く…。




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