君を大人の果実とよぶ。
震えて、震えて、止まらない。
なぜか、涙が一粒こぼれる。
泣きたいわけでもないのに。
なぜか…
「そんな、泣きながらそんなこと言われたって、
聞けないよ」
伸びてくる細い腕から逃げるように
また一歩下がった。
「わ、私、子どもなんです。
だから、黒川さんに敵うわけ…」
「どうしてそこで恵ちゃんの話が出るの?」
その"恵"ワードに、また訳もなく腹が立つ。
「そういうところが、ほんとムカつく。
自分だって工藤先生のこと挙げたくせに…
恵めぐみって、うるさい」
「…ごめん」
「……」
「…ッ!」
先を行こうとする京子をもう一度止めようとするも、
京子は牧の胸を突き飛ばして、
目の前のドアを開けた。
突き離すのは、簡単だった。
なんの力もいらなかった。