君を大人の果実とよぶ。



疑った自分が恥ずかしいとさえ思えた。

何も、見えていなかったのかもしれない。


「…ありがとう」


何故か漏れ出た言葉に、
工藤が「クスッ」と笑みを溢す。


「なんで笑うのさ」

「いや、牧先生にも弱点が
 あるもんなんだなと思って」

「弱点だらけだよ」

「手術は完璧なのに?」

「完璧なのは…」

「否定しないんだもんなぁ」


楽しそうに工藤が笑う傍ら、
牧は改めて考えさせられた。

手は無意識に動くものの、


「ケリーください」

「はい」


器械出しから器械を受け取って、
やっぱり気づく。


自分が医者としてい続けられたのは、

医者をやってこられたのは、

医者でありたいと思えたのは……



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