運び野郎と贋作姫
……二人で生きているうち、私達は互いをだんだん唯一無二の伴侶と思うようになっていた。
咲良が十八歳になった日、愛し合った。
「まだ、綾華を運びだすには力が足りない」
咲良は悔しそうだったが、私は彼らの唇にキスした。
「父の許から逃げ出せるチャンスはおそらく一回きりだもの、慎重になるべきよ」
「……ああ」
私は『普通の女子』の擬態をするため女子大学に通い、咲良は運転手。
咲良は絵画を、画廊の中の私の部屋へ運びこむ。
私はクオリティーを高めつつ、いつかわかる人が来ることを想像しながら細工をする。
同時に、第二の人生を歩むため情報提供と引き換えに情状酌量の交渉ができる人物を探さなければ。
……さすがにこの頃には。
自分達の行為は法から逸脱していると理解はしていた。
けれど私達だって、好きで犯罪に手を染めたわけじゃないことを一人でもいいから理解してほしかった。
女子大学を卒業すると、父は美しく成長した私の「再利用」方法を思いついたらしい。
交渉できる人物探しに難航したまま、二十九歳までお見合いを断ってきたが、とうとう断れない筋合いから来てしまう。
咲良が十八歳になった日、愛し合った。
「まだ、綾華を運びだすには力が足りない」
咲良は悔しそうだったが、私は彼らの唇にキスした。
「父の許から逃げ出せるチャンスはおそらく一回きりだもの、慎重になるべきよ」
「……ああ」
私は『普通の女子』の擬態をするため女子大学に通い、咲良は運転手。
咲良は絵画を、画廊の中の私の部屋へ運びこむ。
私はクオリティーを高めつつ、いつかわかる人が来ることを想像しながら細工をする。
同時に、第二の人生を歩むため情報提供と引き換えに情状酌量の交渉ができる人物を探さなければ。
……さすがにこの頃には。
自分達の行為は法から逸脱していると理解はしていた。
けれど私達だって、好きで犯罪に手を染めたわけじゃないことを一人でもいいから理解してほしかった。
女子大学を卒業すると、父は美しく成長した私の「再利用」方法を思いついたらしい。
交渉できる人物探しに難航したまま、二十九歳までお見合いを断ってきたが、とうとう断れない筋合いから来てしまう。