幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
逢生は音楽院を卒業し、今はドイツのオーケストラにいると言っていた。
日報かってくらい毎日欠かさず電話がかかってくる。
今のところ帰ってくるとは聞いていない。

「本当にいいの?幼馴染君」

「別にいいのよ、別にっ!」

「よくないわよ。休暇だとか言って、また急に現れないでしょうね?」

「だ、大丈夫だと思う。今はまだドイツにいるはずだし」

「本当に?」

「う、うん」

たぶんね……
こくこくとうなずいた。
なぜか私の幼馴染は野生の勘なのかなんなのかしらないけど、昔から私に彼氏ができそう!やった!みたいな流れになると必ず奴がやってくるのよ。
ホラー映画かってくらいのレベルでね。
思わず、名刺を手にしたまま周囲をきょろきょろと見渡してしまった。
大丈夫よね?
忍者とか雇ってないわよね。

「じゃあ、奏花は出席ね」

「もちろん!」

飲み終わるといそいそと席に戻る。
今日の服、適当じゃなくてよかったー!
自社製品の商品を試すべく、オール自社製品の衣料品をいつも身に着けている。
今日のコーデはモノトーンで統一したジャケットとブラウス、パンツコーデ。
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