幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
はいっと紐を手のひらにのせる。

「意味ないよ」

ぐっ……!
それはそうだけど。
近い、近すぎるのよっ!

「わざわざ近寄らないでよねっ」

「犬にじゃれられていると思えば?」

「しつけのなってない犬ね」

「それは主人の奏花しだいだから」

ああいえば、こういう。
逢生ってこんなかんじだった?
私の後ろを静かについてきていた逢生はどこいっちゃったの?
恋人同士というより、お互いの出方をうかがう武士。
間合いをとる私と逢生。
その重苦しい雰囲気を破ったのは逢生だった。

「奏花。荷物を片付けようか」

「え?あ、うん」

「どれを持っていけばいい?」

「じゃあ、これ」

本の入った袋を渡そうとすると腕をつかまれ、抱き寄せられた。

「う、うそつき!」

「俺から離れようとするからだよ」

「そんなことない」

「意識しないように俺から距離を置くのはずるい」

「そ……それは」

否定できなかった。
逢生を男の人だと意識しないようにしたいという気持ちは確かにある。
それがバレていたとは思いもしなかった。
抱き締める手から抜け出せない。
こうなったら―――
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