幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
「お願いですから、仲良くしてくださいよ。絶対にモメないでください」

宰田はいつもは温和なくせに金がからむと人が変わる。
マネージャーの鑑といえば鑑なんだろうけど、俺には迷惑でしかない要求だった。
女物の香水の香り、腕からのぞいた赤い痕。
尋常な男じゃない。
女と別れてもチェロの音は乱れない。
本当にその人を好きじゃないから、そうやって弾ける。
梶井の音は確かに魅力的な音だ。
その音を得るためにどれだけの女性が泣いたのだろう。
遠くから笑い声が聞こえた。
梶井は愛する女性ともめたとは思えないくらい明るく飄々としていた。

『俺とお前は同類だ』

その言葉を俺は完全には否定できなかった。
俺達は似ている。
だから、梶井がきっと奏花を本気で好きになるだろうということもわかっていた―――
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