幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
梶井さんは顔を近づけると、すっと頬にキスをし、ふっと耳に息をかけた。
ぞわりとした感触がはしり、鳥肌が立って身構えた。

「ひえっ!!」

私の反応がおかしかったらしく、口に手をあてて笑っていた。
な、なんなのよー!

「もっ、もう近寄らないでください!」

「奏花ちゃん。顔が真っ赤だ」

ぶるぶると震える手でカードキーを差し込んでドアを開けた。
こんなの涙目もいいところ。
逢生以外の男の人に頬とはいえ、キスされるなんて動揺しないほうがおかしい。

「サイダー、ありがとう。お隣だし、いつでも遊びにきて。深月より楽しませてあげるよ」

「ぜっっったいに行きません!」

梶井さんは笑いながら手を振った。
からかわれているのはわかっている。
わかってるけど―――あの孤独だけは本物だった。
ドアを閉めてもまだ梶井さんの香りがするような気がして、しばらく動けずにいた。
< 98 / 213 >

この作品をシェア

pagetop