君がいたから

9

夏休み。出発当日。

奏斗にたたき起こされ、部屋から出る。奏斗はもう涼しげな格好で、いかにも「もう準備万端だよ」というようだった。

もう朝の7時だ。このままゆっくりしていたら、遅刻も当然と言っていい時間だった。優菜はあわてて出していた服に着替える。今日は白い半袖のワンピースを新調した。昨日、奏斗に服装を見てもらった時、「すごく似合う」と言ってもらえたからだ。

1階に降りると、奏斗はキャリーバッグを車に積めようと、優菜を待っていたようだ。奏斗が言うには、キャリーバッグと個人の荷物以外はもう既に積んでいて、後は優菜と奏斗の荷物だけらしい。優菜は奏斗に感謝した。

「奏斗くん、私の荷物も載せてくれたの?ありがとう」

「いいや、優菜の荷物なんて・・・、どうってことないよ」

「後は、貴重品を入れて、戸締りをして、行こうか」

奏斗はもう荷物を積み終えている・・・ように見えたが、何かを忘れていたようだ。

「あ、僕の薬忘れてた」薬は奏斗にとってライフラインになっている。重病持ちの奏斗にとって、薬は手放せない物である。

「危ないところ。まだ出発前でよかったよ」

奏斗は薬を鞄の中にしまい、奏斗も優菜も準備が終わったので、ついに出発だ。

「早くいくよ」

奏斗の声に我に返って、優菜はキャリーバックを持って外に出た。移動中は、奏斗が運転することになった。優菜は運転免許を持っていなかったため、奏斗が運転することになった。

優菜の学校では運転免許に対しては決まった校則はないから、誰でも運転免許を取ることができる。優菜はまだ運転には自信がないから、未だ取っていないだけで。

奏斗の運転はとても穏やかだ。だから優菜は、奏斗と気兼ねなく話しながら進むことができるのだった。
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