未亡人ママはスパダリ義兄の本気の愛に気付かない

「最初に言っておくが、母は重度の認知症だ。元々記憶障害があったんだが、信が消えたショックからか、その後一段と症状が酷くなった。今はもう俺のことも、どこの誰だかわかっていない。」

「・・・・・・。」

母親から忘れられてしまうのは、どんなに悲しいことだろう。

それが例え義理の関係でも。

それでも龍は明るく振る舞っている。

無理していないのだろうか・・・

「椿さん?」

黙り込んでしまった椿に、龍が再び声を掛けた。

「あ・・・うん。そうね。」

実は椿もずっと気にはなっていた。

龍と信の母親は翔真の祖母で、れっきとした血縁者なのだ。

龍と知り合った以上、避けては通れない問題だ。

「・・・信のことは?」

椿がそう問うと、龍は目を伏せ、首を振った。

「信が亡くなったことも、母はもう理解していない。」

「そう・・・なんだ。」
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