寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました
 


 慶紀はまだ夕食を食べていなかったようで、ちょっと食事にもなりそうなものを頼んでいた。

「あのー、普通に食べるところ行ってもよかったんですよ?」
と言ったが、いや、別にいい、と慶紀は言う。

 ――この人、意外にこっちに合わせてくれるなー。

 気をつけておかないと、知らない間に、気を使わせちゃってるかもしれないな。

 窓際の席。
 この辺りは住宅街が多いので、さっきより、灯りが少なくなった気がする夜景を見下ろしながら、お酒を呑んでいる慶紀を見ていると、

 やっぱり、この人とは結婚できないな、と改めて思う。

 例えて言うなら、非日常な感じの間取りとゴージャスなインテリアのモデルハウスに、さあ、今日から、ここに住んでくださいと、いきなり、言われた感じというか。

 今すぐ宮殿の真ん中に、布団一式だけ持ち込んで住んでくださいと言われた感じというか。

 慶紀がずっと黙ってこちらを見ている。

 この圧も怖い、と思いながら、綾都はおのれの平穏な未来のため、口を開いた。

「あ、あの。
 私、やっぱり、白神さんと結婚とか無理だと思うんですよ」

「何故だ?」

 いや、何故だってな……。
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