うちの訳アリ男子たちがすみません!

 千人って中等部の三学年全クラスを足したって足りない数だよね⁉

 そんなことってできるの?

 楓くんは顎に手を当てて先生に聞いた。

「ちなみに、去年は何人来たんですか?」

「正確な数はわかりませんが……ざっと四百人くらいですかね」

「ええっ、全然ダメじゃーん」

 わん太くんが驚いた声をあげる。

 先生はうんと深くうなずいた。

「だから君たちに頼むんです。……やってくれますか?」

 私たちは顔を見合わせる。

 こんなの、絶対無謀だ。九十九パーセント、できるはずがない。

 ……だけど、今のままじゃ、ただでさえも退学の危機なんだ。

 頑張って入学した野茨を、退学なんてしたくない!

 私は意を決して、ぎゅっとこぶしを握った。

「……私、やります! 千人、頑張ってみます!」

 顔を上げると楓くんがすっと小さく手をあげた。

「僕も。できることは尽くします」

「しょうがない。やるしかないですね」

腕を組んだ紫苑くんもその隣でふっと息を吐く。

「俺もやるよ。サッカー続けたいし」

 と天くんも。

 わん太くんとミケくんはお互い顔を見合わせて、

「俺っち、みんなとバラバラの学校になりたくない!」

「……みんながやるなら」

 二人とも小さくうなずいてくれた。

 それを見て、先生は行事予定の紙を元通りきれいにたたむ。

「よろしく頼みますよ。特別対応係の皆さん」

 野茨を退学にならないためだ。

 無理難題だってやってやる!

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