うちの訳アリ男子たちがすみません!

 先生はそう言うと机の中からタブレットを取り出した。

 私たちに画面を見せるように持ち、コツッと一回タップする。

 すると画面には一人のおじいちゃんが現れた。

 この人、さっき入学式で見た。ここ、野茨の理事長だ!

 どうやら事前に収録された動画を見せてくれるらしい。

 画面上の理事長はコホンと咳を一つする。

『ええー、君たちの措置として、わが校の特別対応係(・・・・・)に任命する』

「「特別、対応係?」」

 楓くんと紫苑くんの声がきれいに重なった。

 理事長は口を開いて話を続ける。

『君たちが特別対応係として、私が依頼することを無事遂行し達成してくれれば、退学は無くしてやろう。ただし、失敗すれば問答無用で即退学じゃ』

 理事長からの依頼。

 できなければ即、退学。

「ええええええ⁉」

 何ですか、それ!

 先生はタブレットの電源を切って元の場所に片付ける。

「以上が理事長からのお言葉です。従うか従わないかは自分で決めてください」

 清水先生はあくまでも冷静に伝える。

 ミケくんはこてっと小首をかしげた。

 従わなければ成績が急上昇でもしない限り退学。従っても失敗すれば退学。

 つまりはそういうこと⁉

 お先真っ暗ロード絶賛進行中だよっ!

 紫苑くんは眉を寄せて思案顔だ。

「そんなに特別対応係、とやらをやらせたいってことは、この学園は何かに困っている。そういうことですよね?」

「まあ、そうですね」

 清水先生は、今度はポケットから折りたたまれた紙を取り出す。

 先生が開くと、中には『行事予定』の文字。

 先生は4月の欄の下の方をさした。

「今月末に野茨学園でオープンスクールがあります。君たちには来場者千人(・・)を目指してもらいます」

「せ、千⁉」

< 18 / 105 >

この作品をシェア

pagetop