うちの訳アリ男子たちがすみません!
5 いざ、ローズパークへ!
紫苑くんの気持ち
「なんで俺も行かなきゃなんねーんだよ」
来たる土曜日。
電車の中でつり革を握りながら、天くんはぶすっと顔をしかめた。
わん太くんは負けじと言い返す。
「いーじゃん。みんなと一緒で楽しいよ。息抜きだよ!」
ちなみに天くんが今日のことを知らされたのは、ついさっき。今朝のことだ。
紫苑くんが「天は絶対反対するから、いきなり連れていきましょう」って。
楓くんは天くんを心配して渋っていたけど、紫苑くんの頑固さに折れちゃった。
まあ、いやいやながらもついてきてくれたからよかった。
ホッとすると同時に気が抜けて、ふわあっとあくびをする。
実は昨日、夜遅くまでオープンスク―ルのこと考えてたんだよね。
遊びに行くんだから特別対応係のこと、ちょっとは進めておかないと、と思って。
今までの野茨とかほかの学校も調べてみたんだけど、やっぱりどこも同じような感じだ。
入試説明とか、在校生との交流とか。
むしろ、去年の野茨学園のほうがほかの学校よりたくさんイベントもやっていて、充実していた。
なのに、去年の人数を倍以上超えなきゃいけないなんて……。
結局何もわからなくて、ずっと考えてたらいつの間にか外が真っ暗になっちゃってたんだ。
私はまたこっそりとあくびをする。
ローズパークまでは電車一本。お昼までには着くから、先に食べてパークの中を回る感じかな。
お母さんは家でお留守番だ。やり残した仕事があるからって。
最近は家族で出かけられていなかったから、お母さんもいけたらよかったのにな。
『次は、ローズパーク前、ローズパーク前~』
電車のアナウンスが鳴る。次がパークの最寄り駅だ。
「みんな、次で降りるよ」
楓くんが声をかける。
みんなとしゃべっていたら、思ったよりも、あっという間に駅に着いたな。
人の波に押されながら、私たちはホームに降り立った。