君が最愛になるまで
過去のことなんて軽く受け止められるくらい心の広い彼女の方がいいのかもしれない。
それでも千隼くんが全部受け止めたいと言ってくれた。


私を信じてくれるのと同じように私も千隼くんのその言葉を信じてみたい。
千隼くんはほんのり口角を上げて私の頬を指先で優しく撫でる。


「心配するな。この家に他の女を入れたことは1度もない」

「ほんと?」

「ほんと。家を教えるなんてありえない」

「そっか」

「紬希ならいつでも来ていいぞ」


今まで千隼くんが関わった女の子たちでもできなかったことをさせてもらえているという事実が小さな安心に繋がっていく。
まだ私はすぐには千隼くんの全てを受け入れることはできないかもしれない。


過去にあった出来事を全部広い心で受け止めるには時間がかかる。
これからも何度も嫉妬してしまうかもしれない。


「ごめんね嫌なことばっか聞いちゃって」

「いや、俺の行いが紬希を不安にさせたんだからこれは俺が悪い。だから紬希は気にせずにそうやって思ったこと、不安なこと全部ぶつけてくれ。それを受け止められる特権は俺だけのものだから」

「うん。ありがとう千隼くん」


千隼くんの胸に頬を寄せて擦り寄る。
少しずつ会えなかった時間を埋めていくように私たちは進んでいけばいい。


噂に踊らされて勝手に千隼くんが最低なクズになってしまったと距離を置いてすれ違った時間もたくさんある。
私が知った少しの真実に、これから自分が傷つくことがあるかもしれないと分かっているのにこの想いを止められない。


まだ私たちの時間は進み始めたばかりだ。
世間一般まともに生きてきて告白して両想いになって恋人になる、とは違う始まりかもしれない。


それでもゆっくりと私たちらしく、歩んでいきたい。
千隼くんの隣で。
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