独占彼氏〜独り占めして、何が悪い〜
第6章ー静かなる嵐ー

信じたいのにーえれなsideー



 

月曜の朝
誕生日の翌日、教室の空気が少しざわついてた

 

「ねえ、あの転校生の子、最近アオくんと話してるよね?」

「えれなちゃんって彼女だよね?大丈夫かなぁ...」

 

そんな声が耳に入るたびに、胸の奥がざわつく

 

私はアオの方へ目を向ける

少し疲れてる私の顔を見つけたアオは何も言わずに
そっと手だけを握ってくれた

 

だけど昼休み、またあの子が動いた

 

アオにそっと手紙を差し出してた

 

『放課後、少しだけ話せない?
昔のこと ちゃんと話したいの』

 

校内には色んな噂が流れ始めてる

別にアオを疑ってるわけじゃない

でも…妙にあの子が鼻につく

 

「アーオ!」

 

廊下でアオを見かけた私は、思わず駆け寄る

その手に白い手紙が見えた


 

「ん?その手紙、何?」

 

「ん?ああ、これ...」

 

アオは一瞬だけ無意識に手を引いた
でもすぐ立ち止まり 私の顔をじっと見つめた

 

「あいつからだ 『放課後、昔のこと話したい』ってさ」

 

手紙を少しだけ見せながら 低い声で続ける

 

「でも俺は話すつもりなかった

お前と過ごす時間の方が何倍も大事だから

ただ...えれな

お前が行ってもいいって言うなら

少しだけ話してちゃんと断ってくる」

 

「お前の言葉で決めたい

それくらい、お前の気持ちを優先したいんだよ」

 

アオが...私の気持ちを優先してくれる...

 

「そうなんだ 正直 行ってほしくないかも...」

 

小さく吐き出してから

少し微笑んで続けた

 

「あ...でもアオに任せるよ?
これでモヤモヤが消えるなら 私は何も言わないよ?」

 

「...なんだそれ」

 

アオは微かに苦笑して私の肩をそっと抱いた

 

「ありがとうって言いたいけど

そんな我慢させてる俺が、一番情けねえわ」

 



「...わかった 俺のやり方でケリつけてくる

終わったらすぐ連絡する

だからお前は“不安”じゃなくて
“信じる”って気持ちで待っててくれよな」

 

「絶対 裏切らねぇから」

 

アオは力強く私の手を握った

 

「ん 待ってるね」

 

私は心配しないよ というように笑ってアオに手を振る

 

「私はアオをちゃんと信じてる すぐに連絡くるよね」

 

――夕方

 

「...まだアオから連絡ないな」

 

昇降口でふとスマホを見たけど通知は来てない

少し寂しくなって、私はLINEで『先に帰るね』と送信した

背伸びしながら昇降口を出ようとしたときだった

 

『じゃあ、あの時のキスも嘘だったって言うの?』

 

裏口から聞こえてきたあの子の声...

私は思わず足を止め、そっと裏手を覗いた

 

そこにいたのはアオと

あの子だった

 

アオ...なんでそんな迷いのある顔してるの...?

 

私の胸がざわつく

 

手に持っていたスマホが震えた

アオからだった

 

『今終わった これからすぐ行く』

 

だけど私は動けなかった



胸の奥がざわざわして、知らず知らず足が家へ向かっていた

...どうして逃げるように帰ってしまったんだろう

 

玄関を開けると静かな家の中

お母さんはまだ帰っていなかった

 

スマホを強く握りしめたまま 私は小さく呟いた

 

「...た、だいま...」

 

その瞬間インターホンが鳴った

 

ピンポーン――

 

きっとアオだ

 

「えれな...開けて」

 

「ちゃんと話させてくれ」

 

信じたいのに “話させてくれ” という一言が怖い

 

私は静かに扉を開けた

 

目の前に立っていたのはアオ
安堵と苦しさが同時に押し寄せる
< 21 / 47 >

この作品をシェア

pagetop