最後に名前を呼べたなら ―君の記憶と、永遠に―
第6章 ―再来、静かなる嵐―

菜亜side

「……おはよ」

朝の教室
菜亜は、いつものように悠の隣の席に座る

だけど
“いつもと同じ”じゃなくなったのは
昨日の、あの告白からだった

 

「……ああ」

悠は、少しだけ目をそらしながら答える

それが気になって
菜亜の指先が、机の角をそっとなぞった

 

話すことはたくさんあるのに
どうしてか、言葉が出てこない

 

ふたりとも
“もう恋人同士”なのに
いつもより、距離を感じてしまうのはなぜだろう

 

「……昨日の、ネックレス。ありがとね」

「……ああ。似合ってるよ」

 

その一言に
心臓がきゅっと鳴った

けど、そのあとの沈黙が
ちょっとだけ、こわかった

 
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