リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
「え…う、うん。」
この時は私の心の中を響香に見抜かれてしまったのか、と思った。
「───響香、この次のシーンの撮影だけど…。」
控え室の中に入ってきた栗原さんはそう言いかけるけど、響香のただならぬ雰囲気を察してか、すぐに口をつぐんだ。
「私、今回の仕事だけはね、絶対に成功させたいの。」
側には栗原さんがいても、響香は構わず言葉を続ける。
「本当は朱理に見てもらうのは、私の舞台のお芝居を…って思ってたけど、でも…いいの。私にとってこのドラマは特別だから。」
「うん…そっか。だから今日、ここに呼んでくれたんだね。」
響香は笑顔でコクン、と頷くとそれ以上はもう何も言わなかった。
その笑顔は昔から私のよく知っている響香の笑顔そのもので、私は心から安心した。