リアライズの殺人〜私は不仲のアイドルグループメンバーです。〜
真鵺をジッと見ている私に気づいたらしき柊子さんは、一度だけ咳払いをして私に目で訴えてくる。
“雫の仕事の事、気づいてても今は知らないフリしてて。お願い!”
私だって別に、みんなに今バラそうだなんて思っても無いけど、それより“あぁ、やっぱりそうっだったのか。”って気分は重くなった。
ここ一年くらい、仕事で柊子さんに同行してもらう事が多かった私は、出版社の人と電話で話してる内容が聞こえてきて、それとなく今回の件の事を以前から把握していた。
セレスっていう雑誌はずっと何年もの間、休刊していたファッション雑誌で、今年の四月から復刊することが決定。
それでモデルに新しい若いメンバーをって事なんだけど、柊子さんが出版社の人とやり取りをし始めた頃、“表紙は例の黒い羽のドレスのイメージで…”とかしきりに言ってて、あぁ、これは真鵺の仕事の件だなって。